あたその日記



苑上の日記 01 竹芝到着


今日、やっと竹芝に着きました。
都からは本当に遠かったけれど、阿高の言っていたとおり、本当にすばらしい
ところでした。

阿高の家族に会うのはとっても緊張したけれど、みなさんとても気さくな方で、
特に美郷さんには初対面とは思えないほど親切にしていただきました。

食事の後、阿高と藤太と一緒に阿高のお父様のお部屋に行きました。
いままであったことを二人が話すのを、わたくしは横で聞いてました。

藤太が怪我をしたことを話すと、お父様は藤太の不注意だと少し怒っていました。
怒ってはいても、お父様が藤太と阿高をすごく心配していたのだと伝わってきました。

それから、わたくしの話になりました。
阿高がわたくしが内親王であると言うと、お父様はびっくりしていらっしゃったけれど、
すぐに、
「よくきてくれましたね。阿高をよろしく頼みます」
とにっこりされました。

阿高や藤太はお父様のことを「親父さま」と呼んでいるのですが、わたくしは「お父様」と
呼ばせていただくことになりました。
いままで父上のことをそんな風に呼んだことはなかったので、そうお呼びするのは少し
気恥ずかしかったのですが、家族の仲間に入れていただけたような気がしてうれし
かったです。

お父様はわたくしのことを阿高の嫁に来たと認識されているようでした。
阿高からそう言われたわけではないので、うろたえてしまったのですが、阿高の顔を
見たら微笑んでくれていたのでほっとしました。


竹芝の方々にはご迷惑をかけたくないです。
わたくしたちの後をついてきていた追っ手も、明日には来ることでしょう。

仲成様が追っ手の使者だという噂もあるようです。
本当ならうれしいのだけれど。

仲成様であってもそうでなくても、追っ手の使者にはわたくしから話をして、少しでも竹芝に
迷惑がかからないようにしなくてはいけないと思いました。



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