<私的な苑上考察>
私は勾玉三部作の主人公の女の子の中で、苑上が一番好きです。
遠子もかなり好きなのですが、やはり苑上のほうが好きなので、どうしてかなと考えてみました。

狭也や遠子と苑上の違いのひとつは、苑上は確固とした役割を与えられていないことだと思います。
狭也は水の乙女だし、遠子は小碓命を殺すという目的のもと、御統の主にもなれます。
でも、苑上は内親王ではあるものの、最後まではっきりした役割を与えられていません。
もちろん、阿高を支えているのですが、苑上自身が何かの主であったりすることはありません。

また、狭也や遠子と苑上の一番の違いは、兄弟がいることではないかと思います。
それが、苑上の深い悩みにつながり、そんな苑上の悩む姿が共感できるのかなと思っています。

狭也は、実の親ではないものの優しい両親がいて、「水の乙女」だと告げられ、かがいでは多くの男性に求愛され、月代王に求められ、鳥彦がついてきてくれます。
闇へ行けば「姫様」とみんなに敬われ、奈津女もいて、科戸王にも求愛され、稚羽矢にも黄泉の国まで追いかけてきてもらえます。
(はう、あらためて書いてみると、狭也、うらやましか〜vv)
もちろん悩みはたくさんありますが、いつも何らかの形で誰かに必要とされています。

遠子は、はじめから小倶那と相思相愛(笑)で、どんなときだっていつも小倶那は遠子を必要としています。
たいへんな旅をするわけですが、菅流のようなかっこいいお兄さんがついてきてくれます(笑)
もちろん、親を失い、小倶那を失い、自身が御統をもてないときには苦悩したりなど、いろいろ悩みはありますが、小倶那という心のよりどころがあります。
真太智にも好かれますし♪
(個人的に、菅流と旅というのがうらやましいですぅ・・・vv)

でも、苑上は違います。
実の父親はいるものの、心が通い合っているとはとてもいいがたく。
兄や弟はいても、比較され、自分はいらない子なのだとわかってしまう。
乳母の榛名はいたけれど、鳥彦や菅流のようにはついてきてくれない。
信じた仲成には裏切られる。
阿高と出会うけれど、狭也と稚羽矢や遠子と小倶那のように、はじめからカップリングはされているわけではない。
だれか他の男性に求愛されたわけでもない。
求愛されるということを自己の存在価値として考えることもできない。
(狭也なら月代王、遠子なら真太智ですが・・・)

苑上はそういう点で、ある意味あまり恵まれていないのだけど、それがむしろ現実の人間に近く、私をひきつけるのだと思います。
(まあ、結局、最終的に阿高をゲット!ということで、ウルトラ幸せ者さんになったわけですが…笑)

狭也や遠子とは違い、苑上は勾玉を使うことはできないけれど。
「もどってきて」
その言葉ひとつで阿高を救った彼女は、やはり彼女自身が勾玉なのかもしれません。
それか、苑上こそが「阿高という勾玉」の主だったのかも(笑)

こうしてあらためて書くと、やはり狭也も遠子も大好きだなあと思うのですが、苑上のことが本当に好きだなあと思います♪