■荻原先生講演会レポ(國學院大學児童文学会シンポジウム)■




2010年12月4日に國學院大學渋谷キャンパスで開催された 「國學院大學児童文学会シンポジウム-荻原規子先生講演会」のレポです。 ぴっころが自分のメモ(A5ノート23ページ分)をべた打ちしていますので、 読みにくかったらすみません。 あくまでメモなので、荻原先生の表現と少し違った表現をしている 可能性もありますのでご了承ください。 講演会に参加できなかった方に、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
■荻原規子先生講演会   2010年12月4日(土)14:00~15:30  國學院大學渋谷キャンパスにて  講演50分「ファンタジーの魅力」  質問40分  参加費 無料 今年3回目の荻原規子先生講演会でした。 薄紅ラブ仲間なKさんにメールいただき、一緒にお昼をしてから会場に向かうことに。 渋谷の落ち着いたカフェでご飯をしてから國學院へGO! 國學院大學渋谷キャンパス、渋谷から徒歩13分ということですが、渋谷とは思えないほど 閑静な感じでした。 すぐ近くに氷川神社があるのも素敵です♪ (紅葉とイチョウがキレイでしたv) 國學院と言えば、高校受験の時に塾で解いていた問題集に「國學院久我山」の過去問が 出てきたよなあくらいのイメージしかなかったのですが、神道とか文学とか、そういう 関係に力を入れている大学だそうで(聞きかじりですが) オシャレな建物3階の教室が会場。 13:30から受付だったのですが、私たちが着いたのは13:15くらいだったのかな。 サイン会の整理券、先着20名だったのですが、幸い間に合いました。 1時間前から並ばなきゃ無理かな、でもあんまり早くから並んでたら学生さんに迷惑かなとか、 いろいろ考えた末の時間調整だったのですが、セーフだったみたいです。 國學院児童文学会の方、とってもきちんとされていて、運営とかもしっかりされていて えらいな~と思いました。 さすが、毎年やっておられるだけありますね。 トイレでスタッフの方にお会いしたので、ちょっとだけお話しさせていただいたら、 シンポジウムは年に1回、毎年開催していて、去年は「あらしのよるに」の 木村裕一さんをお招きしたとか。おお。お手紙を出してお願いするそうです。なるほど。 参加者は、國學院の学生さんが多い感じでした。 参加者は70~80人くらいいたのかな? (会場のキャパは100人くらい?) 児童文学会の部員さんだけで30名ということので、一般は30人くらいかなあ?という 感じでした(私のなんとなくなイメージですが) そうこうするうちに、講演開始時間に。 荻原先生がご登壇。 先生のお話、ベースの部分は共通しているのですが、新たなお話もいろいろありました。 今回は児童文学会の学生さんが中心だったので、荻原先生もその辺りを意識していらしたのか、 同じお話でも、前回、前々回とは少し違うスタンスで話されることもありました。 ということで、以下ベタうち~。 ・國學院の児童文学サークルは有名。学生の時から知っていた。 ・「一瞬の風になれ」の佐藤さんが青山の児童文学サークルに入っていて、  学生時代、國學院の児童文学サークルと児童文学論を熱く繰り広げたという話も聞いていた。  國學院の児童文学サークルはすごいというイメージ。 ・かなり初期の頃から講演会のお誘いをいただいていたが、仕事もあったのでお断りしていた。  自分に講演ができるのかなどもあり。  2回くらいお断りした。  でも、今年は勾玉三部作が文庫になって、2010年は、自分も書いている人間として  少しは何かを語るべきではないかと思って断らなかったら、今年は何件が受けている。  講演依頼のお手紙をもらった。 ・講義にはならないので、体験談のような感じで聞いてください。  過去にやった講演は十指に満たないくらい。  質問コーナーで質問をされる方が好き。 ・処女作を書くまでの話。  ナルニアが出発点。  だけど、今の若い人にナルニアをおすすめしているというわけではない。  時代というか、翻訳の表現なども、若い人にはちょっとつらいかも。 ・自分はナルニアを「他にない物語」と感じた。(小4のとき?)  神話が物語に組み込まれている。  ギリシア神話的な生き物も出ているが、ルイスは古典として学んでいる  イギリス土着の小人やキリスト教が基盤。  基盤があるから強い。 ■神話というか、昔話を含めたものがある ■それが物語の基盤になっている ■やっていることは少年少女の物語 ■ものをしゃべる動物がいる 子どもながら、そういうものが持っている力に反応。 ・日本の神話や昔話について、教わってはこなかった。  マンガ日本昔話もまだなかったし。  グリムとか、ヨーロッパ系の童話に詳しかった。  グリム童話には力がある。  「あのパターンね」と思い浮かべられる。強い。 ・ルイスは自分の好きなものだけ集めたナルニア国を作ったが、  神話が入ることで悠久の流れが呼び込まれている。  そういう話をファンタジーというのかと思った。 ・ファンタジーとは何か、それを知っている人がこの世の中にいるのかな?と思った。 ・自分が納得できるファンタジー論がないから、  自分で探して、自分で論文を書こうと思った   ・当時、早稲田の児童文学サークルは早稲田以外の人も受け入れていた  日本女子大の人で、東京子ども図書館で、子どもへの「おはなし」活動をしている子がいた。  ストーリーテリング(読み聞かせではなく、覚えて語る)をしていて、その人が、 「童話や昔話と創作ものとでは子どもの食いつきが違うんだよ。昔話のほうが圧倒的に食いつく」  と言っていて、子どもでも力があるのがわかる、それがファンタジーかなと思った。 ・心理学や精神分析学の本を読んだ。  ユングの「原型論」、フロイト、ベッテルハイム「昔話の魔力」など  隠れた象徴にアプローチしている。 ・児童文学論で卒論を書いたが、論文は無理と思った。  自分の感じた「何か」を理論化できなかった。  「論文で書けないなら、作品で書くしかない」と思った。  (ぴ:論文は無理ということは前にも語られていらしたのですが、   どういう意味なのか、今回具体的によくわかりました) ・高3のときに、「日本人なら日本神話を」と思ったことは確か。  でも、書けるかわからないし、読んでくれる人に受け皿がないと思った。 ・でも、すごくグローバルなもの。  冥界とか、イザナギイザナミ、ギリシア神話、エジプトのイシスとオシリスなどかぶる。  普遍的なもの。 ・教育学部は一通り学ぶのが必須。  授業での、古事記原文講読。  授業で「古事記は奥が深い」と再発見した。  授業でやらなかったら、そこまで思わなかったかも。 ・神話はおおざっぱにしか書いていないわりに、変なところが細かい。  みずらにさしていたくしの歯に火をつける。細かい描写。  スサノオはクシナダ姫をくしに変えて髪にさす。  くしが大事なもの。 ・服装、首飾り、くし、足結の紐に金の鈴  目に浮かぶビジュアルとして素敵だと思った ・横光利一さんの「日輪」が好きだった  上代を舞台にしたものがあまりなかった ・東京の町田の生まれで、宗教教育を受けていない。  教わっていないから、ある意味ばちあたりかもしれないが、自由にイメージできる ・20代は自分がそういうものを書くのはおこがましいと思っていた。  京都・奈良に生まれて、いろんなお祭りがあって、そういう人のものかなと  東北のような郷土意識もない  自分がそういうものを使ってはいけないんじゃないかという気持ちがずっとあった  (ぴっころ:このあたりは、荻原規子読本の中沢さんとの対談にもお話ありましたね) ・空色勾玉は、西洋的に考えたり、試行錯誤した。  そのうち、日本を舞台で、日本の草木で書いていいんじゃないかと思った。  空想で知らない木を作るなら、日本に生えている木を使っていいんじゃないかと。  それしか思っていなかったのに、古事記に似てきた。それが神話なのかと思った。  ここで生きて、ここのものを食べて、そうすることで土に根付いているものから  吸い上げた、昔の人と、昔の人の話とリンクする。  自分がびっくり。 ・空色を書いて20年をすぎた  今回文庫化にあたって読み直すと、源氏物語や枕草子の四季感があると思う。  万葉からきた和歌の世界。  ピンポイントで風景と気持ちを合わせていくというこの感覚。 ・ポップスもそう。ユーミンの若い頃の歌などは、風景と気持ちが詠み込まれている。 ・風景と気持ち。  そこに気づいた。書こうと思って、書けた。 ・西魔女は、最初にグリム童話が好きだった私。  (西洋と日本の)両方が私の中にある。 ・2007年に共立女子大のシンポジウムで三浦先生と話をしたのもきっかけ。  三浦佑之先生の新刊の「古事記を読みなおす」、出雲神話の大切さにすごく納得。  (ぴっころ:「古事記を読みなおす」、私も読みましたが本当におもしろかったです!) ・敗戦後、日本には古事記への抵抗感があった。  戦争中に使われていたから。  空色勾玉を書いたときは、まだその抵抗感の空気が強かった。  実際に、講演のような場所で、高齢の男性の方からそう言われたこともある。  今のひとは抵抗感がない。  でも、その分、古事記を知らない人も増えた感じがする。 ・いまだに、小4の時に私が感じたものを「こうだったんだよ」と言ってくれる  ファンタジー論に出会えていない。  ハリーポッターが流行った理由の明確なファンタジー論は? ・神話というか、お話の基本パターン。  「鋼の錬金術師」の最終巻を読んで、日本人のすばらしいファンタジーと思った。  そして、少年漫画の「お約束」もある。  お約束が神話。  「小説」はもっと幅が広くていい(個人的な話でも、なんでも)  でも、「物語」は「お約束」  ただ、「お約束」をどう見せるか。  もっとよく見せる。新しい視点。  初めて見たと思わせる。でも実はお約束。そういうものがヒットしている。  何度も何度も見たいから、エンターテイメントがある。  お約束をどう見せるか、実感をもってどう表すか。  (ぴっころ:このあたり、とても興味深かったです。小説と物語の違いのこととか) ・今は修験道に興味がある。  興味は移るが、戻ってくる、でも同じところではなく、ちょっと違うところに戻ってきたり。  何度も何度も。 ・書く醍醐味。  根っこのところにある、自分が思いつかないほど深いところに届いたかもと  思えたときがうれしい。  しかも、それが脇役のセリフなどに、フェイントのように出てくる。  後から、よくこれが出てきたなと思ったり。  だから脇役は大切。おろそかに作っていると、「それ」を言ってくれなくなる。  意識していない、底の方の私。(ぴ:潜在意識?)  その私とお話しができた気になるとき、それが書く醍醐味。 ・物語は個人の話ではない(ぴ:私小説のようなものではないということ?)  その分、ワンパターンになりやすい。  でも、それをいかに読ませるか、やりがいはある。  同じパターンでも、私にしか書けないもの。  自分が好きだと思うものを書いていきたい。  人は変わってしまうが、変わってしまったことで書けた何かもある。  私が変わったことで書けた何か。  しゃべっているとすぐに通り過ぎてしまうが、  文章を書くとそれを見つけられる。 ・書くと、理性の働く私ってちょっとしかないんだなと思う。  (ぴ:ここ、もう少し質問させていただけばよかったですね、どういう意味でしょう?) ・ここにいらっしゃる皆さんにも、書く楽しみを感じてほしいし、  研究してファンタジー論を書いてくれてもうれしい。 ・ということで、ちょっと早めに切り上げて質問タイムにしますね。(10分早く講演終了) <以下、質問コーナー> 國學院の児童文学会の方が多いせいか、ナイス質問がびしばしで、 荻原先生も、質問されたこと以上にいろいろお話してくださって、とっても良かったです! ちなみにぴっころも2番目くらいで質問をしましたが、完全にアイスブレイク的な質問というか。 ということで、以下ベタ打ちです。 Q、風神のあとがきで、「歴史のはざまを書きたい」というように書いてらっしゃいましたが、   次の構想は? A、今はまだもうちょっとRDGが続くので、少し先になりそうなんだけど。   奈良時代、平安時代、とか、わけたはざまあたりって、みんなよく知らないですよね。   今気になっているのは、江戸の直前あたり。   太田道潅が江戸城を作る前あたりが気になる。   でも、あまり本などもなくて。 Q、講演の中で「フェイントのように出てくる脇役のセリフ」についてのお話がありましたが、   もし何か例があれば教えてください。(ぴっころ質問) A、うーん。いっぱいあるので、どれかというとうーん。   あ、でも菅流はそうですよ☆(菅流好きなんだよね?というような笑顔になる荻原先生)   菅流のセリフはいろいろ、すごく書きやすくて、そういうセリフもたくさんありました。   追加Q、(ぴっころ)「菅流の『好きな人のことは好きとお言い』というセリフが、すごく深く感じて、   これは絶対深いセリフだ!過去に何かあったんだ!と思っていたのですが、   以前雑誌(活字倶楽部)で質問させていただいた時には「いろいろあったのよ♪」という感じの   お答えだったのですが」      A、うふふ、「深読み」ですか?     あのセリフはね、なんだかするっと、ふっと浮かんだの(笑)   <ぴっころ感想>   とりとめのない質問をしてしまいすみませんでした。。   でも、港北文庫のときに、菅流というキャラクターならどう言うか、何をするかを   真剣に考えておられた荻原先生が「するっと」出てきたセリフなら、きっと深いと   思います。   私は、ひいおばあちゃんに言われた「思うとおりに生きなよ」という   言葉を座右の銘のようにしているのですが、その影響で、   思うとおりに生きようセンサーが鋭くなっているのかもしれません。   (思うとおりに生きられない時期もありまして)   「好きな人のことは好きだとお言い。びっくりするほど気もちが楽になるよ」という   菅流のセリフには、自ら心にフタをしようとする遠子に、自分の気持ちに   正直になるように諭していて、ほんと大好きです。   遠子は自分を押し殺さず、自分の思うとおりに小倶那と一緒にいることを選び、   小倶那が思うとおりにさせてあげようと手放したことでハッピーエンドになった。   そういう意味でも、菅流のセリフ、やっぱり深いなあと思います。   ちなみに、荻原先生が「深読み」をちょっと強調して発音されたのにドキっと。   港北文庫の講演会で、菅流についての濃すぎる質問をした時に、「深読みなのですが」とか   言った気がするのですが、それを覚えてらしたのか・・・。   港北文庫のつどいの方も覚えてるっぽいことを書いてらしたし。。   深読みしまくりの妄想家で本当にすみませんです・・・。 Q、荻原作品は、登場人物の名前がかっこいい。最近の作品では、RDGの   まゆら、ますみ、まなつなどが好き。名前の決め方は? A、名前は大切。   名前ができたら何%か成功。   稚羽矢は特に悩んだ。   私だけのものと思える名前で、その子にふさわしい名前。   名前が決まると人格が決まる。   次のレベルに行ける。   タイトルと名前は重要。それがだめだとぽしゃる。   (ぴ:阿高とか苑上の名前とか、どうやって決められたのかお尋ねすればよかったです・・・。      前にちらっと雑誌か何かで見た気もするのですが・・・      阿高は、高という字を使って、エミシっぽい音、とかだったかな・・・違うか。。      どなたか今度きいてみてください~) Q、薄紅など、歴史ものの解釈などは? A、薄紅には歴史上の有名人をたくさん使いましたね。   でも、歴史のテストには役に立たないけど(笑)   古川弘文館の「桓武天皇」(ぴ:村尾次郎著)を読んだらおもしろくて。   それまでは空海に興味があったんだけど、安殿親王と空海が同じ年と知って、   それであの時代を使いたいと思ったの。   怨霊で、すぐに都遷りしなくちゃいけなくて。   仲成と薬子はね、仲成の死に方が唐突な気がして、それで同一人物説に(笑)   書くために読むのではなく、好きだから読んでいる Q、RDGについて、設定の理由は? A、熊野はすごく奥が深くて。   熊野から吉野へ、奥駈道へ行くまでは、そこまで修験道について深く考えていなかった。   奥駈道で感じたこと、風神で書ききれなかったこと、学園ものを書きたかったこと、   それが合わさってRDGになっています。 Q、白鳥の小倶那が好き。   荻原先生は、全作品の中でどの男性キャラが好きですか? A、みんな好きなんだけど、主人公の男の子を「この子が一番好き!」と思わないと   書けないので、だから今は深行ですね(笑) Q、深行くんの誕生秘話などあれば。 A、実は、脳裏にある深行のビジュアルのイメージは、樹上のゆりかごの鳴海くんなんです。   性格は全然違うんですけどね。 Q、女の子で活躍するキャラが多い。思い入れなどあれば。 A、元気な女の子が多いねとよく言われる。   一番書きやすいのはフィリエルタイプ。   私とは違う性格、楽しくて書きやすい。 Q、空色勾玉で松虫草を使った理由は? A、野の花をずいぶん探した。群生地は見たことがない。   植物図鑑で見た、群生地の写真がすごくきれいだった。   あとは、野の草にしては大輪であることも印象深かった。   それが群生しているなんてと。 Q、女装や男装、性別入れ替わりなどが出てきますが、神話などを意識されている? A、ヤマトタケルがクマソタケルを女装して討つところは魅力。   女装できるほどたおやかな人が。   そういうこと以外では、シャーマンは男装・女装が多いですね。   芸能の世界でも。出雲の阿国とか。男装で神に近づく。   どこかに何か魅力があるということなんでしょうね。   たぶん、自由になるということ。   人は自分の中に男性も女性も持っているのに、社会的にどちらかの側に   引き寄せられてしまう。   それが、男装や女装によって、解放されるんだと思います。   (ぴ:講演会後に、Kさんと、苑上について語り合いました。      苑上は、フィリエルや遠子タイプの子ではないのですが、      確かに鈴鹿丸のときはとっても活発。それが解放されるということなのかなと) Q、荻原規子読本のスピンオフ(空色勾玉の奈津女と征の話)について。   西魔女はよく短編とかがありますが。 A、あれ(空色勾玉スピンオフ)は51枚の作品で、22年ぶりに空色勾玉を書きました。   勾玉三部作には余計なものはつけるまいと思っていたのですが、   今年の7月くらいかな、急に(荻原規子読本を)出すよとなった。   それで、ひとつだけ書下ろしを書いてほしいと言われて、22年目のサービスの   つもりで書いたんです(笑)   ツッコミどころはどの作品にもあるんだけど、あれを書いたのは、   空色勾玉から22年目だから、今なら追悼ができると思って書いたの。   すぐには無理だったから。   書くのは楽でした。文章とかは変わっているかもしれないけれど、気持ちの違いはない。   西魔女で時々番外があるのはね、あれは終ってないから(笑)   続きを書かないかという話もあるんだけど。   東の国の視点でとか、東の国との係わり合いとか。   でもね、今、自分のサイクルが日本にあるので。   (日本と西洋でサイクルが回っている)   本当にできるかは先の話ですね。 Q、王国のかぎは音楽からのイメージということだが、アラビアに行ったことはありますか? A、ないですね。   音楽から生まれたのが「これは王国のかぎ」   大学のサークルで書いたのがプロトタイプ。   聴きながらイメージができた。   本当にお話になるか試してみたいと思っていた。   それを試したのが、(荻原規子読本に載っている)「リズム、テンポ、そしてメロディー」   などですね。   それが王国のかぎに。   中学3年間ブラスバンドっ子で、クラリネットを吹いたことしか覚えていない。    Q、なじみのない国のイメージはどうやってつかむ? A、アラビアンナイトはバートン版で東洋文庫で全部読んだ。   ヨーロッパ経由のエキゾチシズムというか。   ヨーロッパの人がいい話だ~と思って、翻訳して世界に広げたものの方。   あとは、アラビアンナイトの絵本作家がすばらしい挿絵を描いている。   ヨーロッパのアラビアンナイトのイメージですね。 Q、物語を書こうと思っている人にとって大事なことは? A、本を読むこと。読まないと始まらない。   読んで、「私はこういうのが好きだ」と思わないと、   何が書きたいのかもわからない。   あとは、それをどう文章につなげるか。   それが、「書きたい人」と「書ける人」の違いになってきますね。 Q、鳥彦の声はみんな聴こえるのに、鳥彦王の声は草十にしか聴こえないのは? A、草十の時代までくると、よっぽど特別でないと、動物はしゃべれないし、   動物の声も聴けない。   鳥彦王の血族だけ。   ヤタガラスとか、そういう特別なカラスも、   「彼ら(鳥彦の血族)がいたからだよ!」と書きたかった(笑顔) Q、お話を書いているのですが、自分の書いている脇役も勝手にしゃべる。   脇役が暴走するときがあるが、どうすればいいのか。 A、自分の意図した方向に物語が進まないということですよね?   それは最初の設定が間違っているんです(笑顔)   あんまり脇役が暴走するなら、その人を主人公にした方がいいのかもしれないし?   もう一回はじめからやる。   何百枚書いていても、思い切って最初から。   二度目の方が早く書けるし、いいものが書けるから。     Q、苑上が大好きなのですが、苑上への思い入れなどを(Kさんご質問) A、薄紅は、主人公は最後まで阿高のまま書くはずだったの。   でも、苑上が思っていることがすごく大切で、   ああいう風に(後半は苑上視点に)したの。   前の質問でも言ったけど、設定が間違ってたってことね(笑)   (ぴ:後半では苑上を主人公にした方が良かったということで、      上の質問にリンクさせてらっしゃいます)   飛び出していく苑上が書けたときに、あれは成功したと思いますね。 <サイン会> 先着20名の整理券に間に合ったので、サインをいただくことができました。 オギワラーの方がハンドルネームでサインをいただいているのに 憧れていた私。 今回は勇気を出して、「ぴっころさんへ」と入れてもらうことにしたのですが、 荻原先生に、 「ぴっころって入れるの?(笑)」 と苦笑されてしまいました・・・。 くっ・・・何も考えずにアホっぽいハンドルネームをつけちゃった 10年前の自分のバカバカ・・・。 MさんやKさんみたいな、オサレなハンドルネームにしておけば・・・!!(泣) また、毎回イタタな質問をかっとばしているせいか、荻原先生に、 「もしかして(講演会)3連ちゃん?」 と尋ねられました。 はい・・・しつこくてすみません・・・。 「毎回同じ話をしているでしょう?」 とおっしゃられたので、 「いえ!毎回新たな発見があります!」 とムダに勢いよく答えてしまいました・・・。。 いやでも、ほんとに毎回新たな発見があるので。 港北文庫のレポと今回のレポを読み比べていただいてもわかると思うのですが、 講演内容も少しずつ違うし、質問については全然違いますし。 ほんと、毎回新たな発見です。 次の高知の講演会に行けないのが残念・・・。 やっぱり行こうかな・・・。(え、もうやめとけ??) 高知のレポはSさんにお願いしてみようかな。 そういえば、岐阜からいらしたという姉妹なお二人に、 「ぴっころさんですか?」と声をかけていただきました。 私の日記で講演会があることを知って、姉妹で岐阜からいらしたとのこと。 ぴ:「講演会情報を書いてらっしゃるのはSさんなので、    私はリンクを貼らせていただいただけなんですが、    私の日記も多少はお役に立ったなら良かったです~」 と申し上げ。 Sさん、そしてSさんへ情報くださっている皆様、 いつも情報発信ありがとうございます♪ <コメント> 今回は、國學院大學の児童文学会さんのシンポジウムということで、 荻原先生のお話も、学生さんからの質問も、とてもよかったです。 人数もちょうどいい感じで、ほとんど全員女性で、荻原先生も比較的 リラックスされていたように思います。 客層が児童文学を研究する学生さんが中心ということで、 荻原先生もより気負いなくというか、意味わかるかな?とか気にされずに 思うとおりに言葉を発せられている感じがしました。 (新潟の時も良かったのですが、新潟は子どもからおじいさんまで、  客層が広かったので、荻原先生も、みんなにわかるようなお話に  しないとと意識されていたような感じがあったので。新潟は新潟で  別の良さもあったのですが) 荻原先生、國學院大學の児童文学会の皆様、 素敵なシンポジウムをありがとうございました! そして、館内の掲示物で見かけた 國學院のマスコットキャラ「こくぴょん」、 めさめさかわいかったです・・・!!! ほしい・・・!! *國學院大學児童文学会ブログよりこくぴょん* ネットで見かけた着ぐるみのこくぴょんは、さらにかわいかったです。 が、学園祭に行けばこくぴょんに会えますか・・・? (ご一緒してくださったKさん、本当にありがとうございました!  とっても楽しかったですv)    以上でレポは終わりです。 ここまで読んでくださってありがとうございました! 2010年12月4日   ぴっころ 拝 ※リンクを貼っていただける場合は、サイト内迷子を防ぐためあたそのやメインページにお願いします。 ※その他の荻原先生講演会レポはこちらです。 「2010年10月15日荻原規子先生講演会レポ(港北文庫のつどい)」 「2008年7月5日古代文学会シンポジウムレポ(荻原先生、三浦先生)」




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