■ 風神秘抄ラジオドラマ ■





■風神秘抄ラジオドラマレポ&感想 第8回 (3/8放送分)



「頼朝君はもう救われたわ。あなたが未来を変えたのよ」


オープニング音楽。


舞の日以来、糸世と会っていない草十。

飛んでくる鳥彦王。

頼朝が伊豆に流されると報告する。

「そういえば、あの雌の子、糸世はどうしたんだ?」
と鳥彦王。

舞を終えてから会っていないという草十。


六波羅の屋敷の間取りを覚えたという鳥彦王。

「忍び込めそうだな・・・」

佐殿に一目会いたいという草十。

深夜、六波羅の屋敷に忍び込む草十。

「佐殿」
「だれじゃ」
「静かに」


「佐どの」
「まさか、草十郎?そなたは草十郎ではないか」
「おひさしぶりです」
と草十。

「わしは伊豆に流されることになったらしい」
「不幸中の幸いです」

「草十郎、介錯をしてくれぬか」
と頼朝。

「おれがここに来たのは、生きてくれといいにきたんです」
と草十。
「わしに、生きてくれ、と?」
「ええ。前はおれも命なんて気軽に捨てられると思っていました。
でも間違いだった」
「間違い?」
「生きるほうが大変なんです。戦や武力によらずとも、
人を生かして、自分が生きることができるって力を、
ある大切な人に教わったんです」
「そなたが、生きることが正しいと思ったのは、
その人のおかげというわけか」
「そうです」

おお、小野くんいい演技じゃないですか。
頼朝と一緒のときの小野くんはいい演技をするという噂でしたが、
ほんとだ!

このあたりのセリフもいいですよね。
「生きる」ことの大切さ。
風神秘抄のテーマの一つですね。


「おれが、あの戦で命を落としていれば、生きていなければ、
出会うことがなかった人です。
あの人だけではない、そういう出会いがあれからいくつもあったんです」
「うむ」
「きっと佐どのにも、そういう出会いや機会がこれからあると思うんです。
だから、佐どのにも生きることを選んでほしいんです」
「わしは・・・・生きていていいのか?」
「伊豆は、人も気候も穏やかだ。きっと生きていける」
「まるで見てきたみたいだな」
「見てきたんですよ」
「草十郎、ならばわしとともに、伊豆に行ってくれぬか?
「え?それは・・・」
「もう一度、ともに坂東に下ると言ってくれぬか?わしのために、源氏のために
そなたが必要だ。なあ、いいだろう?」
「佐どの・・・」

小野くんにはこういう感じのセリフまわしの方が合いますね。
一途な少年とか、そういう風な役が。

祇園の宿に戻る草十。


「朝帰りなの」
「糸世、おまえ・・・どうして」
「わざわざ夜目にまぎれる忍びの服までお召しになって、通う女性でもいるのかしら」
「そんな女がいるわけないだろう」
「女のところならまだいいわ。あなた、まさか六波羅に行ったんじゃないでしょうね」
「うまく忍び込めた。佐どのに会えたのだぞ」
「どうして・・・・あんたって本当にばかじゃないの?
「あ?」
「頼朝君は・・・源氏はもう救われているのよ?わたしたちの笛と舞で、疑いもなく
救われたの。それをどうして・・・」
泣く糸世。

「おい、糸世・・・・なぜ泣く」
「あなたって、やっぱりいつまでたってもとんちきね。少しも変わらない。
あたしがあれほどの思いで舞ったというのに」
「おれは・・・・悪いことをしたのか」
「また命を捨てに行ったってことでしょう」
「違うって。あの舞で、はっきりわかったんだよ。佐どのの行く道は、まっすぐ坂東に
向かってひらけていた。糸世の祈りがとてもきれいだったからだ。
うわべだけでなく、お前の祈るものすべてがきれいだったんだよ」

「きれいだなんて・・・・なによ、お見舞いにすら来なかったくせに」
「おまえが寄せ付けなかったんだろう」
「あなたが来なかったのよ」

「お前はおれに、分け隔てをせずに自分を見ろと言った。
なのに、どうしておまえ自身はそうしないんだ。
おれがこんなに思いを寄せているのに!
こんなに好きなのに!なぜ信じられないんだ!」
「・・・え?草十郎?」
「あ・・・おれはいま、なんてことを」


え??これが告白シーン??(滝汗)
原作の「おれはおまえが好きだ、自分でもびっくりするが」はどこへ?
さらっとクールに告白しちゃう原作の草十はどこ?
「こんなに好きなのに!」と熱く叫ぶラジドラのこの人はだれ?
この熱血さん、草十ではないですよね?

初聴きではショックのあまり脱力して、しばらく口がきけませんでした(涙)
このシーンとラストがOKなら、ラジドラは大成功だと信じていたのに。
その重要シーンが、まさか。

何度か聴いた現在では、冷静に聴くことができます。
これはこれでありなんだと思います。
たぶん、脚本家の方は、こういう青い春な少年が書きたかったのでしょう。
(青春アドベンチャーだけに・苦笑)
でも、熱血告白の彼は「草十郎」じゃないです。
別の人です。
このシーンは草十の数少ない決め台詞だっただけに、まさか変えられるとは
夢にも思いませんでした。

いまではこれはこれでありだと思えますが、ここが原作通りになっていたら、
たぶん、今の気持ちの100倍はラジオドラマ風神秘抄を愛せていたと思います。

それくらい重要なシーンだったと思います。
どうしてここを変えてしまったのか、初めから草十のキャラ設定を変えていたための
必然なのか、もしそうならキャラ設定を変える必要はあったのか、
脚本家さんにぜひお尋ねしたいです。。

本当に残念無念で、3日くらい茫然としていました、はい。


「もっと言いなさいよ」
と糸世。
「おまえと会えぬ間、いろいろなことを考えた。青墓で暮らすなら、そうしてもいいかとも」
「あなた・・・本気で言っているの?」
「本気だ」
「あそこは、訪れる人の、一夜の夢の場所よ?」
「これでも、考えに考えたんだ」
「ずるい。遊君であるわたしに、そんなことをさらりと言うなんて」
「分け隔てはしていない」
「打ち明けるとね、わたしの本当の生まれは富士の裾野の小さな村なの」
と身の上語りを始める糸世。

自分は、遊君として育ててもらった分と買ってもらった代金の分を
返さなければならないのだと語る糸世。

一生遊君をしなくてはいけないのかと尋ねる草十。

遊君がもてはやされるのは容姿の盛りのひとときだと答える糸世。

もう人前では舞わないという糸世。

自分のために舞ってはならなかったという糸世。

「あなたの笛で舞ってみたかったの。だから、好きだと言われて、
そばにいると言ってもらえて、うれしかった。
男性に分け隔てなくそう言われるのって、遊君ならだれでもが持つ夢」
「おれは気持ちを変えない。青墓でも、どんな土地にでも行く」
「あなたは青墓になんていてはならない」
「なぜだ」
「あなたの笛は、まわりに大きな影響を及ぼしてしまうからよ」
「笛がだめなら、用心棒でもなんでもしよう」
「いいえ」
「ならば、一緒に坂東へ行こう」
「それはできない・・・ごめんなさい、全部私が悪かったの」
「なぜだ・・・互いに好いているのに、なぜ」
「もう夜が明ける。宿に戻ったほうがいいわ」
「糸世・・・・なぜ・・・・」


ならば一緒に坂東へ行こう、はいいセリフですね♪
勝総スキーのYさんが喜んでいらしたようですv
竹芝の血が流れてるっぽいですよね♪




雨の音。


鳥の羽ばたき。
「うっひゃっひゃ!ぬれたぞ草十!おっ、どうした、庭なんか眺めて」

・・・とりさんのテンションがよくわからないです。

「さては、あの子にふられたんだな」
と草十。

糸世のことを話す草十。

「問題はおまえの笛とあの子の舞にありそうだな」
と鳥彦王。
「糸世もそう言っていた」
「つまり、おまえはあのとき起きたことの大事に気づいていないんだよ」
と鳥彦王。

未来がどんどん変わることの重要性を語る鳥彦王。

悪いことじゃない、自分は糸世の祈る通りにしか笛を吹かないし、
糸世は悪だくみで舞う子じゃない、という草十。

「うーん、おまえの頭は雛鳥みたいにぽやっぽやだな」
と鳥彦王。
「なぜカラスにそんなことまで言われなければならん!」
「カラスでももっと物分りのいいやつはいる」

「だから、おまえの笛は、おまえが考えているよりずっとずっと
すごいんだよ」
「どうもわからん」
「とにかく、おまえはその笛を制御できるようにならないとな。
まあ、ここから先はお前が決めることだ。おれは、おまえが決めたように
ついていくよ」

飛び立つ鳥彦王。

「おれの笛は・・・そんなに特別なものなのか」

考えながら夜明かしする草十郎。


がたがたと戸の開く音。

「草十郎」
寝間着で飛び込んでくる糸世。
(原作では浅葱の水干)
自分と逃げてくれという糸世。
検非違使が動いていて、このままでは捕まってしまう。
日満は吉野に行っていると。

ピンチな音楽。

(続く)



いま聴くと、告白のシーンも、ありはありなんですが、
やっぱり草十郎らしい重要な最愛シーンだっただけに、
変えられてしまったことがショックでした。

薄紅で言うなら、阿高の「決めた?」を変えられてしまうくらいに
ショックでした。

いまは落ち着いたので、これはこれとして聴くことができますが。

本当に告白シーンを変えられてしまったのは残念でたまりません。












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